アマヤドリ本公演『月の剥がれる』出演者紹介! 

月の剥がれる_出演者紹介_大塚由祈子
大塚 由祈子 千葉県出身 1989年生まれ
ICU高校ダンス部・お茶の水女子大学舞踊教育学専攻で、
ダンス漬けの学生時代を過ごしたのち、演劇の道へ。
ビビビ!という出会いを求めて、フットワーク軽く活動すべく現在フリー。
主な出演作は、はらぺこペンギン!「月がとってもきれいです」、
舞台芸術集団地下空港「赤い竜と土の旅人」など。

 ー『月の剥がれる』という作品についての大塚さんの考えをお聞かせください。

 プレ稽古初日に、広田さんがこの作品に込めた想いというのを語ってくださって、それを聞いてから初めて台本を読んだんですが……とてもタイムリーな作品だなと感じています。たとえば今、また戦争することになるんじゃないか、そういう時代になるんじゃないかって空気が流れてますよね。そういった問題について以前友人と飲みながら話してたとき、ある男の子が「実際戦争が起こったら俺は行くよ」「戦争を経験してみたい」と言ってたんです。それが私の中ではとても衝撃的で。戦争なんてみんな嫌だと思ってるはずって信じてたから、そうじゃない人も実際にいるんだということを目の当たりにして、ちょっとカルチャーショックで。そのとき、人それぞれ多様な価値観があるんだって強く実感したんですが、この『月の剥がれる』という作品に触れて、そのことを改めて思い出しました。

 もう二十代も後半になってくると、これから自分はどう生きていこうか、何が自分にとっての幸せなんだろうか、活き活きとした人生を送るにはどうすればいいんだろうか、とか色々考えるようになると思うんですよ。この作品に出てくる但馬という人物もこんな感じのことを口にするんですが……流れに身をまかせて、平坦で安定した生活をずーっと続けて長生きするというのも一つの幸福の形かもしれない、けれどそれで本当に自分は幸せなのかどうか。もしかしたら、人は「死」と向き合ったとき、活き活きと強烈に輝けるのかもしれない。それこそ、戦場で命を懸けるとか、何かのために命を落とすとか。「死」という運命に飛び込んでいくその鮮烈さっていうのは、のんびり80歳まで長生きしましたという人には絶対味わえないものだと思うから。

 私自身、役者という職業を選んでいるからには、どちらかといえば80年長生きしてゆったり過ごすというよりも、あえて厳しい苦難の世界に飛び込んで、何者かになるのを目指している、というところもあると思うんです。だからサンゲの人たちにも、私たち役者なら共感できる部分はあるのかな、なんて思ってます。それから、お芝居の素敵さっていうのは──色々なお芝居はあるにせよ──、人物の大きな決断の瞬間、鮮烈な生が見える瞬間をお客さまとシェアできるところなんじゃないかと私は考えていて。そういう意味ではまさに『月の剥がれる』の物語には鮮烈な瞬間、人生が凝縮されているので、きっと素敵なモノをお届けできると思います。

 でも……どんなことがあってもやっぱり死んじゃダメだよ、死んだら元も子もないじゃん、って思いますけどね(笑)。

★アマヤドリ本公演『月の剥がれる』ご予約はこちらから