アマヤドリ本公演『月の剥がれる』出演者紹介!  

飯野 愛希子 北海道札幌市出身 1990年生まれ

日本大学芸術学部を卒業。

2013年より2年間無名塾に所属。

猫アレルギーだが猫を飼っている。

主な出演作は、無名塾本公演「ロミオとジュリエット」、

映画「稲塚権次郎物語」、M.M.S.Tcandide」、

こちらスーパーうさぎ帝国「ボーン・トゥ・ビー・チャイルド!」など。  
 

─『月の剥がれる』という作品についての飯野さんの考えをお聞かせください。 

 読んでも読んでも「実感がわかない」というのが本音です。過去の話とも考えられるし、もっと遠い未来の話にも思える。でも、物語に出てくるような団体が、現代の日本にも、現れるかもしれない。実感がないからこそ、この登場人物の「覚悟」を少しでも掴む方法を模索していかなければならないですね。

 とはいえ、団体にいる人間たちが狂信的な人物であるかといえば、まったくそんなことなくて、どこにでもいるような若者たちなんですよね。そんな若者たちが平和運動の団体に参加するわけも、それぞれの生い立ちがあって、事情があって、必ずしも同じ目的で集まった人々ではない。その様子は、実に生々しいなと思いました。

 どんな凶悪な事件の犯人にも、生い立ちがあって、環境があって、しかし多くは語られない。どんな戦争にも内情や歴史があって。結果、「死」という最悪の結末を迎えてしまう。

 結果だけ追うと、本当にその方法以外になかったの?とか、そんな覚悟どこにあったの?とか思ってしまうんですけど。「暴露」することで、みえてくるものがあって、そのジャーナリズムの視点も興味深いテーマのひとつです。

 初演の映像を観させていただいて、だいぶ印象が変わりました。淡々と進んでいくと思っていたけど、世界が二分化されていて、その片方には摩訶不思議な世界観があって、ある意味あっけらかんとしているようにみえて。もう片方は重くておどろおどろしい。お互いが共有できる世界ではないから、独立してる。この違和感を感じてほしいですね。

 観ていただく方々は、そのどちらでもない世界から観ていただくことになると思うんですが、むりやり私たちに置き換える、というよりも、この物語をぜひ遠くから眺めてほしいと思います。

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